愛車がランクルやプラドという方や、これからランクルを購入したいと思っている方にとって不安の種である「ランクル・プラドの盗難」。これからランクルを購入してよいのか、もしくは愛車が盗まれないかどうか心配になっている方も多いかと思います。
実際「日本損害保険協会」の調査では、ランクル(プラドを含む)の2021年度の盗難件数は、プリウスやレクサスを上回って盗難件数が1位になっています。しかも埼玉県や愛知県では2022年度ではすでに、昨年同期を上回る盗難件数が報告されているため注意が必要です。
そこで本記事では、そんなランクルの盗難の最新情報や、近年増えつつある盗難手口「CANインベーダー」について紹介していきます。
【2022年】埼玉県で被害増!ランクル・レクサスなどの盗難被害件数が前年同期の1.7倍以上
読売新聞オンラインによると、埼玉県東部を中心にランクルやレクサスなどが標的となった自動車の盗難が相次いでおり、今年1月~3月末に埼玉県警が確認した被害件数は174件で、前年同期の1.7倍超に上っています。(1月~3月末の総合被害件数でいうと埼玉県は、愛知県、千葉県に続いて全国で3番目)
前年に比べて盗難件数が増加している埼玉県では、埼玉県警が道の駅で車を盗む手口について記したチラシをドライバーに配布する等の被害防止を呼びかけるキャンペーンを実施したり、ホームページ上で注意喚起したりなど対策を講じています。
さらに愛知県でもランクルやレクサスなどが標的となった、自動車の盗難件数が前年同期の約1.5倍に。これにより県警は、犯罪防止につなげるために情報提供の報奨金を1万円から10万円に引き上げる等の対策も行っています。
【2021年にも】埼玉県で2日間に9台のランクル盗難被害
2022年すでに盗難件数が増加している埼玉県ですが、じつは埼玉新聞によると、2021年にも2日間で9台のランクルが埼玉5市で盗難されたという被害も報告されています。
鴻巣市2台・本庄市2台・東松山市2台・春日部市2台・白岡市1台のランクルが、5市内の個人敷地内や駐車場で、夜から朝にかけて相次いで盗まれたそう。特定のランクルの車種のみが短期間に狙われたことから、同一犯による連続窃盗事件の可能性も考えられています。
また、盗難被害に遭った9台のうち春日部市で盗まれた車の1台は、盗難発覚からおよそ20分後に約25km離れた商業施設駐車場で発見されています。盗難車を調べたところ、「CANインベーダー」と呼ばれる盗難手口が使われていたことが判明しています。
【なぜ?】ランクルは簡単に盗める?犯行グループは小型機器で制御システムに侵入する「CANインベーダー」の手口を使用
2021年に埼玉県では夜~朝までの間にランクルが9台も盗難に遭い、ランクルはそんなに簡単に盗まれてしまう車なのかと不安に感じた方も多いのではないでしょうか?
その際に使用されていた盗難手口が、「CANインベーダー」です。聞き慣れない名前かもしれませんが、これは数年前から増加傾向にある盗難手口です。
また犯行にかかる時間はおよそ10分程度とされており、窃盗グループによりあっという間に盗まれてしまうのです。
CANインベーダーとは
CANインベーダーとは、特殊な小型機器を用いて外部から車内の配線に接続し、車の制御システムに侵入することで「解錠」や「エンジン始動」をする盗難手口です。これは車の頭脳ともいえる「CAN信号」を乗っ取ることから、「CANインベーダー(侵略者)」と呼ばれています。
具体的には左前方のバンパーを外して内部の配線を出し、モバイルバッテリー型の特殊機器とつなぐことで車の制御システムに侵入します。これは、車のハイテク化に合わせて増えてきた手口だといえます。
CANインベーダー以外の盗難手口は?
「CANインベーダー」以外にも、「イモビカッター」「キープログラマー」「リレーアタック」などもよく耳にする盗難手口でもありますが、盗難手口は時代とともに変化しています。
近年は「リレーアタック」という車の電子キーの電波を中継して鍵を開ける盗難手口が主流でしたが、対策が浸透してきたため、犯行グループは「CANインベーダー」に手口を切り替えたとみられています。
イモビカッター・・・車両にある自動車盗難防止システム「イモビライザー」を無効化する装置。元々は合鍵作製業者や、自動車整備業者が使用していた道具でしたが、盗難に悪用されています。イモビカッターは車種ごとに違います。そのため量産されていて、広く普及しているトヨタ車は狙われやすいです。
キープログラマー・・・「イモビライザー」にアクセスする特殊な機器。車と機器を接続したら、データを抜き出して別の電子基板へと移動。5分程度であっという間に不正コピーした鍵を作り出す手口。
盗まれたランクルはどうなる?
埼玉県や愛知県ともに前年同期に比べて盗難件数が増加していますが、盗まれた複数のランクルはそのあと一体どうなるのでしょうか?
「犯行グループは組織的にランクルを盗み、その後は海外に不正輸出されている」といった噂もありますが、輸出される前には以下の方法が取られているといった情報もあります。
ヤードで解体
出典:千葉県警察HP
盗難車は、自動車の解体・保管施設である「ヤード」と呼ばれる場所に運ばれて、解体されたり加工されたりします。
ヤードは正式には「周囲が鉄壁等で囲まれた作業所等であって、海外への輸出等を目的として、自動車等の保管・解体、コンテナ詰め等の作業のために使用していると認められる施設」のことを指します。
このヤードのなかの一部が、国際窃盗グループによる盗難車の解体や不正輸出の作業場となっている実態が認められています。
窃盗グループのヤードでは主に各パーツを車両から取り外し、単体で売却しています。これはパーツ単位で販売すると、盗難品であることが発覚しづらいためです。
県警も条例により定期的にヤードに立入り調査をしたり、不法ヤードの摘発をしたりと対策を行ってはいますが、盗難車を解体しているかどうかを確認するまでは難しいとの声もあります。
一時的に放置
車を盗んだあとはすぐにヤードに向かわず、コインパーキング等に一時的に盗難車を放置する場合があります。これは盗んだランクルが、GPS搭載車かどうかを判断するためです。
というのもGPS搭載車の盗難が発覚すると、セキュリティ会社から警察へと通報され、GPS信号から盗難車両を発見することができるからです。
そのため窃盗グループは一定期間車をコインパーキング等に放置し、警察によって車両が回収されない(GPS搭載車ではない)ことを確認してからヤードへ移動させます。
ただし窃盗グループのスキルが高い場合は、一時的に車を放置せずともGPSが外されてしまうケースもあるようです。
盗まれるランクルは情報流出が原因の可能性も…
盗まれてしまうランクルは、事前に窃盗グループが下見にきてから盗まれると思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、じつは下見をしていない場合でも「情報流出」が原因で盗難に遭う可能性もあるようです。
情報ニュースサイト「ABEMA TIMES」によると、必ずしも盗難は手探りでやっているわけではなく、窃盗グループには情報網が豊富にあり、納車情報を入手している場合もあるそうです。
ランクル納車当日に盗難に遭った方もいるようで、これを聞く限り最大限の対策をしておくべきだといえるでしょう。
ランクルやプラドの盗難は人気の色・グレードの場合はとくに注意しよう
ランクルの盗難手口は、時代とともに変化しています。そのためトヨタ側も最新のランクル300では「指紋認証セキュリティシステム」を搭載し、対策を講じています。
しかしながら今までもそうであったように、窃盗グループはあらゆる盗難対策を突破して多くのランクルを盗んできています。実際ランクル300も、すでに盗難情報が出ています。
そのため、ランクルの盗難対策で絶対というものはないかもしれません。またランクルやプラドの盗難では、人気の色・グレードの場合は需要が高いため、とくに注意が必要です。
ランクル・プラドの盗難対策は、県警からの呼びかけにもあるように「盗むには時間がかかる」と思わせることが効果的です。次回はそのランクルの盗難対策について詳しく紹介していきます。